月: 2025年9月

関節の分類を理解しよう ― 不動関節・半関節・可動関節 ―

関節の分類を理解しよう ― 不動関節・半関節・可動関節 ―

こんにちは、やまだです。

今回のテーマは「関節の分類」です。

私たちが身体を動かせるのは、筋肉が力を発揮するからだけではありません。骨と骨をつなぎ、動きを生み出す「関節」の構造があるからこそ、多彩な動作が可能になります。逆に、関節の仕組みを知らずに動かすと、不自然な方向に力がかかり、ケガのリスクが高まってしまいます。

関節は大きく3つに分けられます。

  1. 不動関節(Synarthrosis)
  2. 半関節(Amphiarthrosis)
  3. 可動関節(Diarthrosis/滑膜関節)

さらに、可動関節は7種類に細分されます。

今回はそれぞれの役割や運動、人体での具体例、さらにイメージをつかみやすいように「人体以外の例」も交えて整理していきましょう。


不動関節(Synarthrosis)

役割と運動

不動関節はその名の通り「動かない関節」です。骨同士を強固に結合し、安定性や保護を担います。動きはほとんどなく、衝撃から脳や重要な臓器を守るために存在します。

人体での例

  • 頭蓋骨の縫合:生まれたばかりの赤ちゃんでは柔らかく、わずかに動きますが、成長とともに完全に癒合して強固になります。

人体以外の例

  • レンガ塀の目地:モルタルで固められたレンガは動かないが、全体の安定を保つ構造に似ています。

半関節(Amphiarthrosis)

役割と運動

半関節は「わずかに動く関節」です。可動域は大きくありませんが、衝撃を吸収する“クッション”の役割を果たします。外力を受け流しつつ、身体の安定を保つ働きを持ちます。

人体での例

  • 椎体間関節(椎間板):背骨の一つひとつをつなぎ、わずかに動くことでしなやかな動作を可能にし、衝撃を吸収します。
  • 恥骨結合:通常はほとんど動きませんが、分娩時にはホルモンの影響で可動性が増し、出産を助けます。

人体以外の例

  • ゴムのジョイント部分:自動車のエンジンマウントなど、強固に支えつつも振動を吸収する仕組みと似ています。

可動関節(Diarthrosis/滑膜関節)

私たちの大きな動きは、ほとんどこの可動関節によって生み出されています。関節包で包まれ、内部には滑液があり、摩擦を減らしてスムーズな運動を可能にしています。

可動関節は形状や運動の自由度によって7種類に分けられます。


① 球関節(Ball and Socket Joint)

  • 役割:あらゆる方向に大きな可動域を確保
  • 運動:屈伸、外転・内転、内旋・外旋、回旋など全方向
  • 人体の例:肩関節(肩甲上腕関節)、股関節
  • 人体以外の例:ジョイスティック、ドアノブの回転部分

② 蝶番関節(Hinge Joint)

  • 役割:一方向に安定した運動を行う
  • 運動:屈曲と伸展のみ
  • 人体の例:肘関節、指の関節
  • 人体以外の例:ドアの蝶番

③ 車軸関節(Pivot Joint)

  • 役割:軸に沿った回旋を可能にする
  • 運動:回旋
  • 人体の例:環軸関節(首を横に振る動作)、橈尺関節(前腕の回内・回外)
  • 人体以外の例:回転椅子の支柱

④ 顆状関節(Condyloid Joint)

  • 役割:大きい凸面と浅い凹面で動き、2面での運動を行う
  • 運動:屈曲・伸展、外転・内転(回旋は制限あり)
  • 人体の例:膝蓋大腿関節
  • 人体以外の例:カメラの雲台(上下左右に動くが回転は制限される)

⑤ 鞍関節(Saddle Joint)

  • 役割:特殊な形により多彩な動きを可能にする
  • 運動:屈曲・伸展、外転・内転、対立運動
  • 人体の例:親指の手根中手関節(親指を他の指と向かい合わせる動作)
  • 人体以外の例:馬の鞍と背中の形が噛み合うイメージ

⑥ 平面関節(Plane Joint)

  • 役割:小さなすべり運動で柔軟性を確保
  • 運動:すべり、わずかな回旋
  • 人体の例:手根骨間関節、足根骨間関節
  • 人体以外の例:引き戸のレール

⑦ 楕円関節(Ellipsoid Joint)

※分類上「顆状関節」とまとめる場合もありますが、ここでは独立して紹介します。

  • 役割:楕円形の関節面で運動方向を制御
  • 運動:二軸性の運動(屈伸+外転内転)
  • 人体の例:橈骨手根関節
  • 人体以外の例:楕円形のジョイントで角度調整できる仕組み

まとめ

  • 不動関節は動かない=安定性と保護(頭蓋骨など)
  • 半関節はわずかに動く=支持とクッション(脊椎、恥骨結合)
  • 可動関節はダイナミックな動きの中心。7種類に分けられ、それぞれに特徴的な役割がある。

関節の分類を知ることは、「この関節はどんな方向に動くのが自然か?」を理解することにつながります。

次回は「骨格筋の収縮における種類」を解説していきます!

Posted by yamada in 機能と構造, 運動学, 0 comments
【運動学総復習】生体力学から見た“てこの3種類”

【運動学総復習】生体力学から見た“てこの3種類”

こんにちは、やまだです。

前回は「モーメントアームとトルク」について解説しました。今回は、その延長線上で“てこの3種類”について整理していきます。

てこの話をする上でモーメントアームの理解は必須になろうかと思いますので、まだの方はモーメントアームの記事をご覧ください。

運動学を学ぶ上で「てこの原理」は避けて通れません。私たちの身体の動きは、骨と関節、筋肉の配置によって自然に“てこ”の仕組みを活用しています。これを理解すると、トレーニングやリハビリ、スポーツ動作の分析がぐっとわかりやすくなります。


てこの基本

てこの仕組みは3つの要素で成り立ちます。

  • 支点(Fulcrum):動きの中心となる部分(関節)
  • 力点(Effort):筋肉が力を加える場所
  • 作用点(Load):重りや抵抗が加わる場所

この3つの位置関係で、第1のてこ、第2のてこ、第3のてこに分類されます。


第1のてこ ― バランス型

支点が真ん中にあり、力点と作用点が両側にあるのが第1のてこです。シーソーに類似している形ですね。

人体での例

  • 頭部の保持:頸椎が支点、頚部の伸筋が力点、頭の重さが作用点。
  • 片脚立ちの骨盤制御:片脚立位で中臀筋が骨盤の傾きを抑えるとき。股関節を支点、中殿筋が力点、重心が作用点

特徴

筋の力は内的モーメントアームとして使用され、重力は外的モーメントアームとして作用します。

  • バランスが取りやすく、安定性に優れる
  • ただし、動きの範囲やスピードは小さくなる

第2のてこ ― 力に有利な省エネ型

作用点が真ん中にあり、力点と支点が両端に位置するのが第2のてこです。

人体での例

  • つま先立ち(カーフレイズ):足の指の付け根が支点、ふくらはぎの筋肉(アキレス腱付着部)が力点、体重が作用点。少ない力で体を持ち上げられます。
  • 顎を開ける動き:下顎が支点、咀嚼筋や舌骨筋群が力を加え、顎の重さが作用点。

特徴

支点がてこの一端にあるため、外的モーメントアームより内的モーメントアームの方が常に長くなります。そのため、

  • 少ない力で大きな荷重を動かせる(省エネ)
  • ただし、可動域やスピードは小さい

力の発揮は得意なてこと言えますね。

第3のてこ ― スピード型

力点が真ん中にあるのが第3のてこです。人体の多くの動きはこの形式で成り立っています。

人体での例

  • 肘の屈曲(上腕二頭筋の働き):肘関節が支点、二頭筋の付着部が力点、前腕の重さや手に持ったダンベルが作用点。
  • 肩の外転(三角筋):肩関節が支点、三角筋が力点、腕の重さが作用点。
  • 膝の伸展(大腿四頭筋):膝関節が支点、脛骨粗面が力点、下腿や荷重が作用点。

特徴

第2のてこと一緒で支点がてこの一端にありますが、内的モーメントアームより外的モーメントアームの方が長くなります。

  • 動きが速く、可動域が大きい
  • ただし、大きな力を出すのは苦手

外的負荷(図の場合はダンベル)よりも相対的に大きな力が必要となります。効率が一見悪いですが、運動上記のような特徴があり、多くの筋や関節がこのてこで動いています。

まとめ

  • 第1のてこ:安定性重視のバランス型(首・骨盤の制御)
  • 第2のてこ:力に有利な省エネ型(ふくらはぎ・顎)
  • 第3のてこ:パワー・スピード型(肘・肩・膝など大部分)

私たちの身体は、動作や関節ごとにこれら3つをうまく使い分けています。スポーツ動作では第3のてこが多用されるため、スピードや可動性に優れる一方で、筋肉や腱に大きな負担がかかりやすいのも事実です。

だからこそ、仕組みを知った上でトレーニングやケアを行うことが大切になります。

次回は「関節の構造と種類」です!

Posted by yamada in 運動学, 0 comments
トレーニングの原理・原則

トレーニングの原理・原則

原則を知らずしてメニューは組めない。

回数や強度の設定の前に知らないといけない原理・原則。

同じことをやっていても、意味がわかれば効果が上がる、どういう感じでこの後トレーニングしていくかメニューを考えるきっかけになればと思います。

※文献や参考書籍によって多少の差異があります。

では早速。

簡単に言ったものを「まとめ」に記載したので、難しい方と思った方はまとめまで飛ばしてください。

1.特異性の原則

SAIDの原則とも言います。

*SAID(Specific Adaptation to Imposed Demands:生体に課せられた刺激に応じた適応をする)

どんなトレーニングをしたらどんな効果が得られるか考えなければなりません。

例えば、筋パワーを鍛えたい方に筋持久力のプログラムを提供しても思ったような効果は得られません。

競技に特化した専門的なトレーニングも「競技の特異的な動作」を向上させるトレーニングと言えます。

では、競技動作のみのトレーニングを行えばいいのかと言われるとそうでもなくて。

競技動作のみではいずれ停滞期(プラトー)に陥る可能性も高いと言えます。

基礎の身体的能力の向上も必須でしょう。基礎を疎かにすれば競技動作も満足にできないのではないかと感じてます。

また、特異性は競技のシーズンとも関係していると言われています。

どのタイミングで基礎から競技特異的なものに段階的に進行していくか

この辺りも競技の特異性を考えてプログラムしていく必要があります。

2.過負荷の原則

オーバーロードの原則とも言います。

トレーニングの強度として日常生活以上の負荷をかける必要があり、競技者にとってはさらに高い負荷が必要です。

エクササイズでの負荷の中には重量、回数、頻度、休息時間等色々ありますが、運動の複合化(単関節運動から多関節運動)も負荷の増加と言えるでしょう。

ただ、負荷の急な上げすぎや無理な負荷オーバートレーニングになりかねないので正しく適用していくことが大切です。

3.漸進性の原則

レベルアップを引き出し続けるには強度を段階的にあげていく必要があります。

スクリーンショット 2021-10-01 23.03.03

ずっと同じ負荷では必ず停滞期(プラトー)が来ます。

過負荷と同じでただ負荷を上げていけばいいわけではなく、状況に基づいて組織的に、段階的に上げていくことが前提です。

目的に応じて、回数や重量、難易度、時間、スピード等々負荷の掛け方はいっぱいあります。

4.意識性の原則

トレーニングの意味や目的を理解した上で行うのと、何も考えずに行うのとでは得られる効果が大きく変わってきます。

どこを鍛えているのか(その部位や能力)、このトレーニングが何に役立つのかを最低限理解してからトレーニングを行うことが望ましいといえます。

実際、ここまで理解してもらうのはなかなか難しいと痛感していて、多対一のセッションでは一人一人が理解を得るまでに時間がかかってしましがちです。

筋の収縮感を得るだけでも人によっては前段階が必要かなとも思います。

自分の中ではかなり重要視して、キューイング考えてます。

スクリーンショット 2021-10-01 22.59.41

5.全面性の原則

何かに偏らずバランス良く強化しなければいけません。

弱いところだけで良いわけでもなく、主働筋・拮抗筋のアンバランスによる傷害のリスクを減らすためにも重要だと考えています。

また、下半身だけ、上半身だけもいいとはいえないでしょう。

例えば対人でふらつく→体幹鍛えよう!では不十分です。

足が接地している以上下半身の筋力が必須なのはもちろんですが、肩甲帯の安定性や下半身の力を上半身に伝えるための連動性も鍛える必要があるでしょう。

一つの部位のみ酷使すればもちろん慢性的な傷害に繋がることも容易に想像できるはずですが、

この全面性の原則が全然浸透していないがために育成年代の怪我が多いのは大袈裟ではないはず…。

6.個別性の原則

トレーニングを実施する人の特徴を考慮してプログラムを作成しなくてはなりません。

その人自身の筋力や年齢、性差、スキル、体格、健康状態等々まさに十人十色でメニューは組まれます。

身長の伸び具合でも負荷の掛け方を気をつけないと怪我につながります。

スクリーンショット 2021-10-01 22.58.03

性差ですが、男女で筋の横断面積あたりの筋出力には差はないそうです。ただホルモンや月経の時期等によっては筋緊張が上がってしまう等の変化はあるのでトレーニング組むときは考慮が必要と、この前講義に参加させていただいたときに仰っていました。

7.反復性の原則・可逆性の原則

トレーニングによって鍛えられた能力はトレーニングをやめてしまえば元に戻ることは言わずもがな理解できるかと思います。

当たり前ですが、継続して計画的に行うことが必要です。

さらに一度落ちた筋肉をもどすのに3倍以上かかるとされる研究結果も出ています。

継続は力なり とはまさにこのことですね。

まとめ

長々話しましたが、めちゃくちゃ簡単にまとめると、

1.トレーニングの刺激に応じて体は適応する

2.さらなる負荷が必要

3.強度は段階的に上げていく

4.目的を理解して、どこを使っているか考える

5.バランスよく全身的に取り組む

6.個人の特徴を考えてメニューを作る

7.継続して行う

以上が、トレーニングの原則になります。

文献によって多少異なりますし、原則なので原則から外れることももちろんありますが、基本はこんな感じです。

原則を再確認して最大限効果をあげていきたいですね!

参考文献・書籍

Thomas R.Baechleら,NSCA決定版 ストレングストレーニング&コンディショニング 第3版,2010

日本体育協会,公認アスレティックトレーナー専門科目テキスト第6巻 予防とコンディショニング,

Andreas Vigelsø, Martin Gramら,Six weeks’ aerobic retraining after two weeks’ immobilization restores leg lean mass and aerobic capacity but does not fully rehabilitate leg strenght in young and older men,2015,Journal of Rehabilitation Medicine

Posted by yamada in トレーニング, 0 comments